自分自身が最大のライバル~「敗者のゲーム」読了~
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今回は
「敗者のゲーム」チャールズ・エリス著
について感想を。
この本は投資家(特に個人投資家)にとって
教科書的な一冊だと思います。
ただはっきり言ってこの本は私には難しいです(笑)
特に説明もなく投資に関する専門用語がバンバンでてきます。
また,基本的にアメリカの税制度がベースになっているので,
日本に住む我々にはどう応用すればいいかイマイチぴんとこないところも多いです。
ただ,投資家のマインドや心構えを認識するのには非常に役立つ
と思います。
この記事を読めば,今回のように株価が暴落しても平穏を保つ
ことができるのではないでしょうか。
では早速いきましょう。
敗者のゲームって??
この著書のタイトルである
「敗者のゲーム」って何のことかイマイチわからない方もいるかと思います。
(私もそうでした)
まず,よく言われることですが,
長期で見ればファンドマネージャー(≒アクティブファンド)は市場平均に勝てない
ということです。
(10年では7割,20年では8割のマネージャーが市場に負けています)
このように,取引所取引のほとんどを占める機関投資家が
自分自身(=市場)に打ち勝つことはできないのです。
つまり,資産運用は
「勝者」=市場に打ち勝つ
から
「敗者」=市場に負ける
が多数を占めるゲームになっています。
これを本書では,テニスに例えています。
テニスのプロプレーヤーは正確なショットを打ち,
相手の手の届かない所へ打ち込んで勝利します。
対して,体育の授業でやる程度のアマチュアはラリーはなかなか続かず,
ダブルフォルトなどのミスによって得点を重ね,ミスが多いほうが負けます。
プロではポイントの80%が自ら勝ち取ったものであるのに対し,
アマチュアはポイントの80%が相手のミスによるものです。
同じルール,服装,場所なのにこれだけ異なるのです。
これを資産運用で考えると,
市場に勝とうとする超優秀な機関投資家が多数現れ,
市場を支配し,その総体である市場に勝つことができない
ということです。
このような機関投資家は毎日無数の激しい運用競争を繰り広げており,
圧倒的な情報,知識,経験を備えています。
我々個人投資家が勝てるわけないですよね…
個人投資家が勝つ方法
では,個人投資家は泣き寝入りするしかないのかというとそうではありません。
プロが市場に勝てないなら,市場丸ごとに投資すればいいのです。
これが可能になるのがインデックスファンドによる積み立て投資です。
インデックスファンドとは,
ある指標(日経平均,TOPIX,S&P500など)に連動するように投資を行うファンド
のことで,市場の成長にあわせて恩恵を受けることができます。
(インデックス投資について過去に記事にしていますのでそちらもぜひ)
このインデックスファンドは長期的に見れば
ほとんどのポートフォリオマネジャーに打ち勝つことができるのです。
ただ,このインデックス投資ですが,地味です(笑)
ひたすらバイ&ホールドするだけで,
しかも10年単位の長い期間保有しないとメリットがありません。
「敗者のゲーム」に勝つには
投資家が守るべき基本原則は
- 投資の最大の課題は株式,債券,不動産などへの
長期的な資産配分の決定 - いつ資金が必要になるかを決める
- 資産ごとにも,資産の種類ごとにも幅広く分散すること
- 決めたことを一貫して忍耐強く実行すること
です。
この項目で,最後の項目が一番難しいとされています。
投資で成功するうえで最大の課題は,頭を使うことではなく,
感情をコントロールすることです。
今回のようなコロナショックでは,誰もが不安になって動揺しますが,
落ち着いて,忍耐強く行動することが大切です。
最後に
単純そうに見えるインデックス投資ですが,
人間ですので,周りが慌てふためいているときに冷静に対応することは難しいかもしれません。
ウォーレン・バフェットの
「投資は単純である。
しかし単純なことを実行するのが難しい」
という言葉を思い出し,市場の乱高下に振り回されずに
どっしりと構えていきましょう。
名著ですので,投資をされている方は一度読んでみてはいかがでしょうか。
ではでは。
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